東京高等裁判所 昭和37年(ネ)189号 判決
上記認定の事実からすれば、被控訴人は前記契約に基づき仕事の目的物たる右消毒器に附属品をも具備してこれを控訴人に引渡すべき義務があつたところ、前記証人堀弥平次の証言並びに原審及び当審における控訴人本人尋問の結果によれば、被控訴人は控訴人の再三にわたる引渡方の催促にもかかわらず、その履行をしないまま昭和二十七年頃これを他に売却して処分したことが認められ、そして当審における控訴人本人尋問の結果及び原審における被控訴会社代表者尋問の結果によれば、本件消毒器は控訴人が今は存在しない樺太人造石油株式会社に納入するため被控訴人に注文したものであり、その製作はその発注に際し注文者から交付された設計図面に従つて行われたこと、その後歳月を経て一般消毒器の構造も使用資材も一変し、もはや本件のような様式構造の消毒器は市場で製作されていないことが認められるからこのこと及び本件消毒器の規模構造等から考えるときは、本件契約による蒸気消毒器を製作して引渡すべき被控訴人の義務は、右の売却処分によつて履行不能に帰したものといわなければならない。
(小沢 池田 中田)